チューニングが合わない人
「アコギやエレキを弾いてて、ちゃんとチューニングしたのになんか音が変…。チューナーがなくてもチューニングできたらいいな…。チューニングの精度を上げたい。どうすればいいんですか?」
こういう疑問に答えます。
本記事の内容
- ギターのチューニングが合わない6つの理由
- 最高のチューニングの合わせ方
この記事を書いている僕はギター歴30年ほど。これまで数々のライブ、レコーディング、音源制作をしてきました。その経験をもとに、ギターチューニングのアイデアをお伝えできればと思います。
チューナを使って合わせただけじゃダメなんですか?
それだけではキレイなチューニングにはなりません。
チューナーを使って大体合わせた後に、さらに細かいチューニング調整ができるようになります。
では実際に見ていきましょう♪
※この記事は5分ほどで読み終わります
もくじ
ギターのチューニングが合わない6つの理由
チューナーで結構ぴったり合わせたのに、コードを押さえたり、フレーズを弾いた時に
な〜んか、音がズレてる気がするんだよな、、、
という場合、合わない理由は6つあります。
解決しやすい順に書くとこんな感じです。
1、弦を力んで押さえている
2、弦が古い、または、新しく張り替えたばかり
3、オクターブ調整ができていない
4、ネックが反(そ)っている
5、フレットの作りが甘い→ギター本体の根本的な原因
6、そもそもギターはチューニングが合わない
順番に見ていきましょう。
1、弦を力んで押さえている
まず、これです。
ギター本体には何の問題もなくて演奏している人の問題というわけです。解決しやすいと書きましたが、初心者はもちろん中級者〜上級者でも”力まずに脱力する”というのは永遠の課題だったりします。
ギターは力んで押弦すると音程(ピッチ)が上がります
なので、必要最低限ギリギリの力で弦を押さえるのが良いわけですね。
初心者の場合、まずチェックするのは、コードを押さえる時ありったけの力で押さえていないか、です。やたら指が痛いし、左腕も疲れて握力がなくなってしまう、という場合は力んでいます。
脱力がうまくできないという方は、なぜ、ギターを弾くとき左手の脱力ができないのか?【原因完全解明】の記事も参考にしてください。
2、弦が古い、または、新しく張り替えたばかり
弦が古くてサビたりしてると、チューニングは合いません。具体的な目安として、張り替えて3〜6ヶ月すぎると徐々にチューニングは合わなくなります。
また、張り替えたばかりの新品の弦も、弦が伸びて安定するまでチューニングは合いにくいです。
チューニングする→それぞれの弦を軽く引っ張る→チューニングする
これを5回以上は繰り返しましょう。
近年、人気の”錆びない”コーティング弦ですが、やはり老舗のエリクサーの弦は素晴らしいです。手汗などで弦が錆びやすい方は一度使ってみることをオススメします。二度と普通の弦には戻れません(笑)。
3、オクターブ調整ができていない
オクターブ調整ができていないと、ローコードでは合ってるけど、ハイコードだとチューニングが合わなくなります。
エレキは自分できますので、こちらのサウンドハウスさんのサイトを参考にしてみてください。アコギのオクターブ調整は自分でやるにはなかなかハードルが高いです。
ブリッジサドルの加工が必要になってくるのでリペアショップに相談した方が良いです(アコギのオクターブ調整はほとんど場合必要ありません。チューニングが合わないその他の理由をすべてチェックしてみて、それでも気になるならお店に相談しましょう)。
4、ネックがそっている
ネックが反っていると、これもやはりチューニングの合わない原因になります。
ネック調整の手順は
ネックが順ゾリなのか、逆ゾリなのか、目で確認→トラスロッドを回してネックをまっすぐにする
ですが、初心者の方にはハードルが高いかもしれません。自分で挑戦する場合は、Youtubeなどで解説動画を確認しながらゆっくりやりましょう。自信のない方はお店に持っていくのが早いです(1000円前後〜やってくれます)。
5、フレットの作りが甘い→ギター本体の根本的な原因
これまでみてきたことは
1、自分で解決できる
2、お店で安価で解決できる
ことでした。
しかし、この、フレットの作りが甘かったり、ギター自体の根本的なことが原因でチューニングが合わない場合、解決するにはかなりの費用がかかります。
フレットの作りが甘いというのは、少し専門的な話になりますが、フレットの山が適当に作られていたり、フレットの高さがバラバラだったりする場合です。あと、ナットやブリッジ、その他本体の何かしらの原因で、弦振動にばらつきや偏りが出てしまうギターもチューニングが合いません。
ここ最近は安価なギターでも作りがしっかりしているものも出てきてはいますが、クオリティがバラバラなのでハズレを引いてしまう確率は高くなります。ハズレギターをリペア等でなんとかしようとすると、本体よりもリペア代が高くなるなんてこともザラにあります。
なので、中古でも新品でもギターを買う場合は注意が必要で、チェックする項目はいろいろあります。この辺りはまた別の記事でも書きたいと思います。
6、そもそもギターはチューニングが合わない
最後ですが、頭に入れておくべき事実があります。
ギターはそもそも完璧にはチューニングは合いません
なぜかというと、ギターやピアノなどの和音が演奏できる楽器は平均律でチューニングするからです。平均律というのは簡単にいうと、ハーモニーの音の狂いを平均的に全体に ばらまいたチューニングです。
逆にぴったり合わせたチューニングを純正律といいます。
本来ならぴったり合う純正律の方がいいのは当たり前なわけですが、例えば純正律でコードCをぴったりにチューニングしてしまうと、Gを弾いたときに合わなくなります。一方をぴったり合わせればそれ以外が合わない、これが純正律です。
ギターやピアノは演奏中にチューニングを変えることはできない楽器なので、たくさんのコードを演奏するためには、平均的にハーモニーの狂いを少しづつばらまいて、全体として「まあほどほど合ってるよね」というチューニングの状態に最初からしておかなくてはいけません。そうやっていろんな人が何年にも渡って、色んな「ほどほどに合っているチューニング」を考案した結果、今現在、広く普及したのが平均律、というわけです。
この辺りはかなり深い話になるので興味のある方はいろいろ調べてみると面白いと思います。
最高のチューニングの合わせ方
なぜチューナーのチューニングだけじゃダメなのか
上記4番目までのポイントをクリアしているとして、なぜチューナーのチューニングだけじゃダメなんでしょうか。
チューナーは各弦をそれぞれを”独立的に音合わせ”をしているが、各弦同士の音程関係をチェックできない
からです。
高価で精度の高いチューナもありますが、それを使ったとしても、その後自力で耳を使って各弦同士のチェックをすることでより最高のチューニングにすることができます。
クリップチューナーのオススメはこちらの記事もご覧ください。
【ギター超初心者】チューニングの方法【クリップチューナー編】当たり前のこと出来てますか?最高のチューニングの合わせ方
さて、これから説明するチューニングチェック方法は、上記4番目までをクリアしていることが条件です。が、まあそこまできっちりしてなかったとしても、このチューニング方法でかなり細かいとこまで合わせることができます。
手順としては下記の通りです
1、まずは純正律にチューニングできるようになるための耳を鍛える
2、ギター指板上で同じ音が出るポイントを覚える
3、平均律的に全体的に均等にズラす
4、弾くポジションが一定の場合はそこで鬼チューニングする
順に見ていきましょう。
音の”うなり”を聞けるようになる【最重要】
まず一番大切なのはこれです。
これさえできれば、もうこの記事は読まなくても良いといえます。
・2つの音の音程がピッタリと合っている純正律的な状態
・ピッタリ合ってるとこから少しズレて”うなり”が発生する状態
これを聞き分けられるようになりましょう。
まずは、3つの状態を聞いてみてください。
1、6弦5Fと5弦開放弦(=A)を同時に鳴らしています。
2、6弦5Fと5弦開放弦、ちょっとチューニングをズラしました。
3、かなりズラしました。
音のうなりというのは、2つの音が同時に鳴った時に「ウワ〜ン、ウワ〜ン」と音が波打って聞こえる状態です。
1は、音のうなりはありません。完璧に合っている純正律の状態です(ジャストといいます)。
2は、ちょっとズレていて、ゆっくりとウワ〜ンといううなりが発生してます。
3は、かなりズレていて、早い周期でウワンウワンとうなっています。
微妙な違いですが、しっかり聞きながら何度も自分でペグを調整してチューニングしていると、だんだんうなりが聞こえてくるようになります。
もう少し他の例も聞いてみましょう。
4、6弦5Fと5弦7Fのハーモニクスです。ジャストの状態から4秒あたりから少しずつズレます。
5、同ポジションのハーモニクス。今度はズレてる状態から始まって6秒あたりでジャストになります。
6、6弦開放と4弦2Fのオクターブポジションです。これも同じくうなりが聞けます。ジャスト状態から3秒あたりからズレていきます。
同音もしくはオクターブで、この音のうなりを聞いてチューニングを微調整する感覚を身につけましょう。
同じ音が出るポイントを覚える
音のうなりが聞けるようになったら、もうあとは色んなポジションで合わせまくるのみです。
同音、オクターブで同じ音が出るポジションをたくさん覚えましょう。
▶︎ローポジション
このオクターブ関係を覚えて、同時に鳴らしてうなりを聞きましょう。特にアコギの場合はローコードが多いので、これでチューニングが合えばほぼOKです。
▶︎ハイポジション
フレットポジションは任意です。全てをチェックするのは大変ですので、4箇所ほどチェックすればOKです。
▶︎ミックスポジション
昔からチューニング方法として推奨されている同音ポジションです。太字点線のオクターブチェックはあまり知られてないので、覚えておくと1歩先をいけます。
コツは”均等にズラす”こと
さて、音のうなりも聞けるようになり、同音やオクターブポジションでのチェックも一通りやってみました。
経験を積み、かなり精度高くピッタリ”純正律に近いくらい”合わせられるようになったあなたは、こう思うはずです。
あれ、こっちを合わせるとこっちが合わない…。これってもしかして…
そうです。それがまさに上記6番で説明した純正律と平均律の問題です。
つまり
全てのポジションでジャストに合わせるのは平均律なのでそもそも不可能
なので、最低限ここは合っていて欲しい、というポジション以外は、そこそこ均等にズラすというのがポイントになります。最低限合っていなければならないポジションというのは、自分がよく使うポジションです。
アコギでローコード主体ならローポジション。エレキでハイポジション主体ならハイポジション。上から下まで使うならミックスポジションもです。
アコギ弾き語りでローコード主体の場合なら、コードG、C、Dの中にあるオクターブチェックを一通りやれば、かなり綺麗なチューニングになります。
値段の高いギターの方が良いと言われる理由
ここまでみてきた方はもうわかると思いますが、値段が高いハイエンドなギターはなぜ高くて何が素晴らしいのか。
1番の理由は、このチューニング、ピッチの精度が抜群に合うように丁寧に作られているからです。
普通にチューナでチューニングした状態で、何もしなくても、上記の3つのポジションでのオクターブ関係がかなり正確に合います。ローコードを弾いてもハイコードを弾いても綺麗な音程、チューニングで和音が鳴るのです。
近年のハイエンドソリッドギターの代表 suhrなどは本当にその辺り別格です。日本のメーカーでのオススメは、フジゲンのサークルフレッティングシステム(C.F.S)仕様のギターです。僕も何本か持ってますが、コスパは最高で、気持ちの良いピッチで演奏することができます。
まとめ
- チューニングが合わない理由を一つずつチェックしましょう
- 音のうなりを聞いてチューニングできるようなれば、かなり上級者です
- オクターブ関係を知ることでギター指板の理解も深まります
- 余裕があれば高いギター(10万〜)の方がのちのちチューニングに悩むことは少ないです
ということで今回は以上となります。
綺麗な美しいチューニングは、ギターが上手いと言われる条件の一つです。いつもチューニングに気をつけながら演奏するようにしましょう♪