
コード進行のパターンがわからない人
「コード進行ってどうやって作ればいいの?コード進行にはパターンがあるの?曲を作る時にコード進行から作りたいけど、何をどう繋げればいいかわからない。どうすればいいですか?」
こういう疑問に答えます。
本記事の内容
- コード進行のパターンなんて知らなくてもイイです
- 曲の構成を決めながらイメージでコード進行を作る【重要】
- 曲の構成、物語性が良くできている楽曲5選
この記事を書いている僕は作曲歴24年ほど。これまで多くの楽曲を発表し、現在も作家事務所で作曲活動をしています。
コード進行のパターン、知らなくてもいいの?
はい。全然問題ありません。曲の構成の作り方さえ知っていればOKです。
コード進行のパターンを100パターン覚えるよりも、より実用的で実践的な曲の作り方を知ることができます。
では実際に見ていきましょう♪
※この記事は5分ほどで読み終わります
もくじ
コード進行のパターンなんて知らなくてもイイです
パターンにハマらない”より自由な”作曲
コード進行のパターンを覚えようと思ったら、一番簡単な方法は
すでに世に出ている曲のコード進行をマネる
これに尽きます。
作曲をやり始めたばかりの人にとっては、かなり有効な作戦です。どんどんマネをしてコード進行のパターンのストックを増やしていけば良いです。
しかし、そうやっ作っていくと分かりますが、いずれ壁にぶち当たります。
なんだかありきたりで面白くない…
じゃあ、今まで見たこともないような自分なりのコード進行を作ればいいじゃん!と、やり始めると出来上がった曲は、、、複雑怪奇、、、すっごいプログレ、、、ある意味天才笑
超個性的な楽曲になるかもしれませんが、果たして、それを聴いた人は共感してくれるでしょうか?
サッカー、野球などのスポーツもルールがあるから面白いわけで、ルール無用の場外乱闘なんでもあり!になると、とたんにつまらなくなりますよね。
作曲もなんでもあり、ではなく
ある程度聴く人の共感を呼べるような聴きやすいフォーマット、枠組み
があれば、もっとその中で自由に遊べるようになります。
例えが変ですが、最初から変人を目指すのではなく、ちゃんと服を着て社会にみとめられた上で、メガネがめっちゃ変とか、髪型だけは個性的という感じで、ほんの少しの変な個性を出していく、と受け入れられやすいというわけです。なので、まずは作曲の最低限のルールと、楽曲全体の枠組みをしっかり作ることを意識して曲つくりをしていきましょう。
ダイアトニックコードだけは覚えよう
ここからの話はすべてキーCで説明していきます。まずはダイアトニックコードなるものを覚えちゃいましょう。
キーCのダイアトニックコードは7つあります。
C、Dm、Em、F、G、Am、Bm7(♭5)
この7つのコードを中心にコード進行を作ることで、この曲はC(Am)の曲だよ〜、はっきりとリスナーに分かってもらえます。
曲全体のキー(調)のことを「トーナリティ」といいます。
この曲はキーCです!と、はっきりとトーナリティを提示することで、まずは一つのルール、枠組みを作り上げることができます(そしてその枠組みを壊すこともできます)。作曲では今後も出てくる大切な言葉なので覚えておきましょう。
ダイアトニックコードについては【音楽理論】ダイアトニックコードという神の無双ツールを使う!で詳しく解説してますので、ぜひご覧ください。

コード進行の構成は4の倍数で
このダイアトニックコード7つを使ってコード進行を作っていくわけですが、ここでも1つ枠組みを作りましょう。
コード進行の流れを4小節、8小節、16小節でひとまとまりにします
音楽の形式というのはクラシックの古典の時代から、4小節単位で作られることが多いです。
例えば、4分の4拍子の曲が
|C |F |G |
|Am |G |F |
というふうに3小節まとまりで6小節続いたら、なんだか気持ち悪い、おさまりが悪い感じがしますね。もちろん、その違和感を狙ってあえてのハズし、という感じでも作れますが、上級テクでハードル高めです。
まずは4小節でひとまとまり、これを意識してコード進行を作りましょう。
なんのコードから始めてもいいの?
じゃあ4小節はどうコードを並べれば良いでしょうか?
最初に持ってくるコードは C、Dm、F、Am
この4つにしましょう。なぜかというと、それ以外のコード、GやEmを最初に持ってくると、、、
トーナリティがあやふやになることがあるからです
キーCのダイアトニックコードを使っているにもかかわらず、Gから始めてしまうとキーGに聞こえてしまうことがある、ということです。
作曲初心者が意外とおちいりやすい罠の一つに、意図しないとこで自然と転調しちゃってた。。。というものがあります。Cから見てGは関係調といって凄く近いキーなんですね。
慣れてくるとコード進行とメロディの関係をしっかり作れるので、何から始めても違和感なく作曲できるようになりますが、最初のうちはトーナリティを提示しやすい C、Dm、F、Amを最初に持ってくるようにしましょう。
コードを4小節単位で並べましょう
なんでもいいんですか?
なんでもいいです。
ですが、一つ条件があります。
ギターかピアノで実際にコードを鳴らして、それを聴きながら耳で判断してください。五線譜やノートにコードを並べてもそれは音楽にはなりません。実際に音を出して「あ、これいいな」と思える組み合わせを探していきましょう。
まずは4小節、例えばこんなふうに始めてみます。
|Dm |Dm |Am |Am |
なんだかちょっと切なくて寂しげでいい感じですね。じゃあ次の4小節はどうしようかな、、、ちょっと広げてみようかな
|C |C |G |G |
おっと、切ないながらも、ちょっと希望が見える感じの雰囲気になったぞ。これで8小節できちゃいました。最初のパートとしてはもう8小節欲しいので、あとはどうしましょうか?
オススメはこの8小節の同じコード進行をもう一度繰り返す、です。
|Dm |Dm |Am |Am |
|C |C |G |G |
|Dm |Dm |Am |Am |
|C |C |G |G |
これで十分に曲のひとまとまりのパートとしてはできてますね!なんとなく洋楽っぽい雰囲気です。
なになに?もうちょっと凝りたい?
いやいや、最初はこれで良いのです。まだまだドラフト、下書き段階でOKです。この状態でギターでコード進行を延々と弾きながら、メロディを歌って作っていくわけです。良いものができたらすかさず録音しましょう。
このコード進行を作るときに一つ大事な思考がありました。
なんだかちょっと切なくて寂しげで、、、でもちょっと希望が見える感じもする
これが一番大事なイメージです!コードの流れを聞いて大ざっぱにイメージを感じながら作っていきます。
風景や色、感情なども徐々に見えてきましたか?
では次に全体の構成を作っていきましょう。
曲の構成を決めながらイメージでコード進行を作る【重要】
J-POPによくある楽曲構成パターン
J-POP(に限らずですが)で一番使われる全体の楽曲構成のパターンがあります。これも一つの枠組みとして覚えちゃいましょう。
Aメロ(8小節 or 16小節)
→Bメロ(4小節 or 8小節)
→サビ(16小節)
この構成を使ってコード進行を組み上げ、メロディを作ると、とてもシンプルで聴きやすい曲になります。
→4小節単位でコード進行を作ること
→始まりのコードはC、Dm、F、Amにすること
あとは、具体的に何をどう構成していけばいいのでしょうか。
順番に見ていきましょう♪
Aメロ(始まり)
曲の始まりです。どんなイメージで始めたいですか?
選ぶコードによって、ざっくりですが、こんなイメージになります。
・Cで始まる → 明るい、楽しげ、これから歩き出す感じ、安定感、楽観的、白(トニック始まり)
・Dmで始まる→ ちょい切ない、秋、寂しげ、ブルー、灰色
・Fで始まる → 寂しげ、物語の途中から始まる感じ、続き感、記憶の中、モノローグ、切ない、過去の思い出、水色、灰色、淡い色、ブルー
・Amで始まる →マイナー調の曲になる、暗い、寂しい、孤独、ロック調、攻撃的、ストイック、真剣な、赤
結構いろんなイメージ(風景、感情、色)がありますね。
DmとFは結構イメージ近いですね。
4小節の具体例をいくつかあげてみましょう。
|C |G |Am |F |〜
|Dm |Em |F |Em |〜
|F |Am |Dm |Em |〜
|Am |Em |G |Dm |〜
組み合わせだけでも無限に作れますよね。もちろん同じコードを繋げても良いです。とはいえ、自分的に気持ちよく聞こえるコード進行、は有限だと思うので、時間があれば全部あげてみるといいですよ。
個人的には4つ目なんかはイマジネーションがふくらむ感じで好きですね。
Bメロ(物語が展開)
Aメロからの流れを受けて、場面転換するのがBメロです。
基本的にはAメロの始まりのコードとは違うコードを選ぶようにしましょう。
また、キーCなのでトニックのCを使うと
曲が最初に戻る感じがして物語が進まないので、Cは使わないようにしましょう。
そうすると、Aメロをなんのコードで始めたかによって、Bメロの最初のコードが結構絞られてきますね。
▼Aメロを「C」で始めた場合のBメロの最初のコード
・FかDm → 場面転換しやすい、内面や心情にフォーカスがくる、「でもちょっと…」、辛い時もあるよね、寂しさ
・Am → 一時的にマイナー調に場面転換、暗い、ストイック、孤独
・Em、G、Bm7(b5) → Bメロならば最初に持ってきてもOK、意表をついた展開
Aメロ(明るい)→ Bメロ(暗い、寂しい)という展開を作りやすいのがこのパターンです。
具体例をあげておきます。
|F |G |F |G |〜
|Am |Em |F |Em |〜
|G |Am |F |G |〜
▼Aメロを「F か Dm」で始めた場合のBメロの最初のコード
・FかDm → 同じ風景、同じ心情を重ねて強調する(ちょっと間延びするので退屈にならないよう注意が必要)
・Am → さらに内面に入っていくイメージ、攻撃性、いちずな思い、真剣
・転調しちゃう【上級テク】→ちょっと難しいがうまく作ればかなり効果的
Aメロ(切ない)→Bメロ(さらに切ない)と感情を重ねていけるのがこのパターンです。
AメロがAmで始まる場合も自分で色々イメージを膨らませながら試してみてください。
サビ(結論、一番言いたいこと)
さて、サビです。
サビはその曲の顔であり、重要なメインテーマであり、一番伝えたいパートですね。これはメロディでも、歌詞でも同じです。なので、サビから作曲しちゃいます、ってのも全然アリです。むしろその方が作りやすいかもしれませんね。
僕個人的には、一番多い作り方の順番は、サビ→Aメロ→Bメロ、です。重要度が高い順でもありますね。
サビは、AメロBメロがなんのコードから始まっていようが、特に気にせず独立して考えてもOKです。
始まるコードによって作りやすいイメージはこうなります。
・Cで始まる → バーンと開ける、要はこれ!私が言いたいこと!、結論、明るい、だからこれからも歩いていく、ハッピー、白、ありがとう、子供、幼い
・F か Dmで始まる → 疾走感、これからも物語は続く、ちょっとクール、あたし頑張る、切ない、涙、別れ、大人、成熟した、都会的
・Amで始まる → この曲はマイナー調だと決定づける、真剣、決意、ストイック、強い思い、激しさ、攻撃的、赤
・サビで転調【ちょいテク】→ ガラッと場面を変えて、独立したサビとして聞かせるのに効果的
基本的にはAメロと同じ感覚で作ってOKです。
曲の構成、物語性が良くできている楽曲5選
では実際の楽曲で、どういう感じで構成が作られているのか、見ていきましょう。
アーティストやバンドの楽曲もありますが、どれも作家的な視点、つまり全体の構成と展開をすごく計算して作られている楽曲ばかりです。構成を模写して何曲か作ってみると、作曲の構成スキルが格段に上がるでしょう。
Superfly「愛をこめて花束を」
言わずと知れた大ヒット曲。もう楽曲構成のお手本のような曲です。明るい導入のAメロ→少し不安でさまよい歩くBメロ→バーンと開けるサビ。こういう構成の曲を「自分的な必殺曲」としてたくさん作っておくと、色々と需要があって幸せになれます。
サザンオールスターズ「TSUNAMI」
こちらも不朽の名曲、J-POPの至宝ですね。Bメロで転調する例として取り上げました。非常に美しい転調ですよね。これもやはり転調を使うことでBメロを紆余曲折させ、その分サビがバーンと開けて聞こえるという例です。
サビをしっかり聞かせるためのBメロの作り方、本当にうまいです。参考にしましょう。
UNISON SQUARE GARDEN「シュガーソングとビターステップ」
バンドの曲ですがアニメタイアップもありで、作家的視点で書かれていて構成が非常にうまいです。キーCでいうと、AメロもサビもDmから始まるという”渋谷系的なオシャレ感満載”ですが、甘くて切ない仕上がりになっています。
サビ最後に独立したキメフレーズがあるのもインパクトのある楽曲構成のポイントです。
乃木坂46「サヨナラの意味」
これもやはり王道な構成で仕上げている素晴らしい楽曲です。サビで1音上に転調するので、気持ちが盛り上がりますよね。
Aメロ、サビどちらもトニック始まり(キーCだとC)なのに、切なさとか強い決意を感じるのは、メロディと歌詞のバランスが素晴らしくハマっているからです。
X japan「紅」
最後は、どマイナー調で攻撃的、激しい、赤、というイメージそのままのこの曲です。
楽曲構成としてはかなり特殊で、AーBーA’ーB’の後に長〜い間奏が入ります。しかし、そのあとのサビが素晴らしく良いメロディのため、ここまで引っ張れるのでしょう(今だったらプロデューサーやメーカーから”もっと早くサビ聞かせないとリリースは無理”と言われるでしょうね笑)。
マイナー調の曲はもちろん星の数ほどありますが、特殊な構成でもこれだけ聴かせる例として取り上げました。
まとめ
- 自由な作曲のために、大きな枠組み、全体の構成をまずは決める
- ダイアトニックコードを使う→トーナリティの提示
- 4小節まとまりでコード進行を作る
- コード進行の流れでどういうイメージを持つか?を感じながら作る
- ABサビの小節数をあらかじめ決めて、どう展開するかをイメージする
ということで今回は以上となります。
いかがでしたか?
いや、、、ルールをある程度決めて、その枠の中で自由に作るのはわかったんだけど、出来上がったものは、、、意外ともうすでに聞いたことある感じの曲になるんだけど
そうですね。今回はダイアトニックコードのみを使ってのお話だったので、ありがちなコード進行になる場合もあると思います。
ですが、それでいいのです。
最初から「コード進行をパターンとして覚えて何も考えずにそのまま使う」のではなく
ある程度ルールが決まっていたとしても、自分の感覚を頼りに、イメージをしっかり持ってコード進行を作る
ということができた方が、作曲をするスキルは断然アップします。
イメージ通りに作ることができた上で、他にも様々なコード進行パターンや、ダイアトニック以外のコードなども取り入れて、さらに楽曲のバリエーションを増やしていけばいいのです。
そういう努力は必ず実ります。
これからも「自分だけのイメージ作曲法」を磨いていきましょう♪